この度24期生エッセイリレーのトップバッターを拝命した。
「面白そう!」と軽い気持ちでアプライしたところご指名をいただきびっくりしたが、大変光栄に思っている。
私はいわゆる一般生で、日本の公立小中学校を卒業してICUHSに入った。それまで勉強しかしてこなかった典型的ガリ勉だった私に、自分達の周りには勉強以外にも楽しいことがいっぱいあり、それらを選択し享受する権利があるのだと教えてくれたICUHSは本当に素晴らしい学校だと今でも思っている。
どうやら変人らしい私は日本の公立学校では浮いた存在だった。特に中学の3年間はずっと居心地の悪さをおぼえていたけれど、ICUHSは今でいう心理的安全性が高く、変人であっても他の人から笑われたり邪険な扱いをされる心配がなかった。学校が楽しいと生まれて初めて思えた。
生涯の友と呼べる存在が初めて出来たのもICUHSでのことだ。
まずは入学式の日。
忘れもしない窓側から2列目、後ろから2番目の席に座ると、既に一番後ろの席に座っていた由貴ちゃんが肩を叩いて話しかけてきてくれた。自己紹介をし終えたくらいのタイミングで他の子(まちゃこ)が「そこ、私の席なんだけど…」とやって来ると、彼女は「オーマイゴッド!」と言いながら頭を抱えて立ち上がり、本来の自分の席を探しに行った。由貴ちゃんが入学式の日に間違った席に座ってくれたおかげで、そこから人生の半分以上、大親友であり続けてくれている。
そして2年生3年生で同じクラスになった恭子、智美、麻衣子の3人。
私以外の3人は帰国子女だし、育った国や性格が全員まったく違うが、なんだかんだと仲良くしてくれている。お互い家庭もあり会う頻度は20代の頃ほど多くないけれど、定期的に連絡を取り合っている貴重な友人だ。なんと、卒業後20年経つ今でも毎年お互いの誕生日にプレゼントを贈り合っている。これってすごくない?
この機会に他の24期生の近況を知ることが出来たら嬉しいので、私自身のことも少し書いておこうと思う。
私は大学もICUに行き、その後国立の大学院を経て新卒で就職した通信会社で入社以来一貫して海外事業に携わっている。輝かしい経歴の卒業生が多い中では平凡なキャリアかもしれないが、ドメ人間だった自分がもう15年近くも英語で仕事をしているのだから不思議だ。
27歳で結婚もした。コロナ禍を機にお互いフルリモートになっても息の詰まるようなこともなく、夫婦仲は良好だと思う。
私は生まれつき心臓が悪いのだが、それに加えて3年前に白血病にも罹患した。無菌室で過ごす9ヶ月は人生で最悪の経験だったけれど、前述の友人達や家族、職場の方々に支えていただき一命を取り留め、約1年後に社会復帰を果たすことが出来た。幸い今のところ経過は悪くない。
特に30歳を超えたあたりから「面白そう!」という軽いノリで色々なことにトライするようになり、昨年には主治医の反対を押し切ってサーフィンを始めた。最高なのでご興味のある方は是非一緒にレッスンに行きましょう。
生きていると色々あるが、その中でも自分の意思で選択をし、その結果を自ら引き受ける、という当たり前だけど大事なことは高校時代に初めて教わったと感じる。
受験のためではなく、人生を豊かにするための勉強をたくさんさせてくれたICUHS。あの恵まれた環境は先生方のたゆまぬ努力のお陰だと大人になってようやく分かる。この場を借りて先生方に御礼を申し上げたい。
私も一人の大人として、より良い未来を作ることに貢献していきたいと思っている。
次のバトンは恭子、智美、麻衣子に順番に渡るようにした。よろしくね!