ICUHS女子サッカー部Passionsのコーチ仲間、芦澤柊人くんからバトンをもらいました。42期の前北梨音と申します。
卒業して間もないと思っていましたが、アルバイト先に「2年目もよろしくね」と声を掛けられ、経ってしまった1年間が光のようにとても速かったことに驚いています。

私は青山学院大学に進学し、手話部に所属しています。またICU大学の女子サッカー部に所属すると同時に、ICU高校女子サッカー部にOGコーチとして携わらせてもらっています。手話というと数ヶ月前に 「silent」「星降る夜に」という手話をテーマにしたドラマが放送されていましたが、ご存知ですか?静かにコミュニケーションを取れる手話は、他言語と同様で学ぶに連れて喋れる会話が濃く深くなっていく点が魅力的です。文字や音ではなく身体を使い表情豊かに会話をする点が他言語と異なりますが、それもまた魅力の一つです。手話、とても興味深いのでぜひ機会があれば触れてみてください。

さて本日はこの場を借りて、私がこの1年間で特に見失いかけているパーソナリティーについて述べたいと思います。振り返るとこの1年間で自分を取り巻く環境が大きく変わりました。たくさんの人と出会い、「初めまして」の考え方や価値観に出合いました。
高校時代の私は、女子サッカー部のキャプテンを努めたり、一人で自主練したりと、サッカーに多くの時間を費やす生活を送っていました。また、授業は座学よりも体育の授業が好きで、髪型も刈り上げやツーブロック、ファッションや趣味嗜好も漫画に出てくるようなボーイッシュそのものでした。そのような私が大学生になり、今では髪を伸ばし、お化粧をして登校しています。毎日着ていた運動着は、スポーツをする時にのみ着るようになりました。高校時代を知る人からは、大学に入って変化したと言われますし、大学以降に出会った仲間からは、昔との違いに驚かれます。なんなら、高校時代の自分の写真を彼氏だと勘違いされたこともあります。周りに言われる点は見た目だけではありません。高校時代と同様に授業に臨むと真面目だと称されてしまいます。一つ一つのテーマについて考えを深めようとすると、積極的だねと言われてしまいます。自分の中での当たり前が、大学では否定されたように感じ、過ごし方や態度を模索しています。
そして、そのように変わった自分を前にするとふと、「あれ、自分ってどんな人なんだろう」と自分を見失うことがたまにあります。サッカーが好きなのも私、毎日ヘアアレンジに悩むことを楽しむのも私、ICU高校を卒業したのも私。高校で理系科目に手こずっていたのも、大学で真面目に過ごしているのも、日々起こるできごとに素直に立ち向かうのも、恋愛に疎いのも全て私。どの私が私なのか、ではこの先どのように過ごしていけば良いのか、わからなくなってしまいました。
ICU高校から他大に進学した人は、感じたことがあるのではないでしょうか、多文化や多言語が飛び交い、日々をこなしながら「素の自分」を出せていた高校の居心地の良さを。
そのままICUに進学した人も感じたことがあるのではないでしょうか、環境によって表現する「自分」がまた別の環境で表現する「自分」と少し異なっていることを。

上手く伝わらないかもしれませんが、誰しもふと見失った自分らしさを探すことは起こり得ることなのではないでしょうか。人には、それぞれ自分のパーソナリティーがあります。それは、周りの環境に刺激されて創られていく、ある種の構築主義だと思います。だから、自分を無理に変える必要はないし、何か固定の性格や態度に縛られる必要もない。私は、これから先も色々な影響を受けてたくさん学び自分を深めていこうと思います。その中で、どんな自分も自分だと胸を張って言える人になりたいです。

最後に、ICU高校で出会った42のみんな、40,41,43,44のみんな。また再会した折には、私は高校時代と比較して見た目も趣味嗜好も変わっているかもしれません。けれどお互いにどこかしら変わっていると思うから、その時は、高校時代を思い出して語り合いましょう。