3年間お世話になってました、43の齋藤心です。今もICUの大学の方にお世話になっております。
今回エッセイリレーに参加させて貰いましたが、正直自分が同窓会のイベントに参加するとは思ってもみませんでした。せっかく機会をいただいたので、高校生活を振り返ってみたいと思います。

私は日本人学校からの書類選考入試で入学しました。受験勉強をしたくないという思いが学校を選ぶ決め手になったと記憶しています。いざ入ってみるとコロナ禍真っ只中で、ただでさえ人の顔と名前を一致させるのが苦手だったので、ズーム越しではもっと苦労しました。対面授業に切り替わったあとも、人生最大規模の学年人数で面くらいました。そのまま3年間人との交流は最低限で、ICUに上がってようやくICUHS出身の友達が増えたくらいです。そんな私の大好きな場所が学校図書館でした。暇があれば図書館へ行き、本棚を眺めていることが多かったです。小説ばかり読んできたけど、もうちょっと背伸びをして専門書に手をだしてみようかとか、それまでいまいち興味の持っていなかったハリーポッターシリーズを読み始めてみようとか、高校一思い出深い場所です。

一方の授業はというと、理系科目、特に数学で撃沈していました。私は高校3年間担任が数学科の先生だったのですが、自分が何を理解できていないのかもわからず、質問しにいくことさえ放棄しました。今でも推薦で大学に入れたことが奇跡に思えるほどできませんでした。そんなふうに憂鬱だった数学科の好きなところは、数学を心から楽しんでいる先生方の姿勢でした。数学科に限らず、あらゆる科目の先生は自分の担当科目を愛していることが伝わってきたし、主張することに躊躇いがなかったように見えました。だいぶ引っ込み思案で「好き」を他人に伝えるのが苦手な私は、素直に自分の好きを追求していいんだ!と勇気を貰いました。

日本で生まれ、アメリカに移住し、また日本に帰ってから香港に移り、ICU高校に入る、という些か説明が面倒な経歴を持っているけれど、それが珍しくない環境に身を置けたのは貴重だったと思います。環境が変わるたびに性格や考え方が変わってきたし、グニャグニャ変わる自分に悩んだこともあります。多様性しかない高校で自分というものの形がやっと見えました。好きも嫌いも、表現するもしないも自由なんだと吹っ切れました。

今大学に通っていて、自分の好きなこと、少しでも興味のあることはチャレンジしてみているつもりです。苦手な人付き合いも少しずつ改善している気もします(本当に気のせいの可能性がぬぐえない)。自分の表現することへの恐怖心を少しずつ取っ払ってくれた高校生活、あってよかったなと改めて感じています。これから先も、「好き」を追いかけていきたいと思います。