『G生でも取れた通訳資格-通訳案内士(ガイド)』

齋藤啓伸(14期)

 日本の中学校を卒業して一般生(G生)として入学すると、まずショックを受けるのが帰国生との語学力(主に英語)のあまりにも大きな差だと思います。

 ICUを受験するということは、英語が超得意であったはずの一般生・・・・。
 しかしてその実体は・・・。
 というくらい激しい語学力の差。それにめげて英語アレルギーになってしまう一般生も多いのが哀しい現実ではないでしょうか。

 さて、私も入学第一週目に自分の英語力の限界を知り、落ち込んだ一人なのですが、最近になって「通訳案内士」なる資格を取ってしまいました。
 以前は「通訳ガイド」と公称されていたのでこの名前で御存じの方のほうが多いと思います。

 自分の英語はもうこれ以上伸びない・・・・とショックを受けてから20年。
 なんと「通訳」の国家資格タイトルをゲットしてしまったのです。

 「通訳案内士」は国土交通省主管の観光ガイド通訳の国家資格で、実際はJNTO(日本政府観光局)という独立行政法人により試験・審査が実施されています。

 試験科目は2010年現在、①語学(英語・フランス語・中国語・韓国語・ドイツ語・スペイン語・ポルトガル語)、②日本歴史、③日本地理、④一般教養(政治経済)の四科目で、一次の筆記と二次の口頭試問により合格者が決定されます。
 以前は5%くらいの厳しい合格率だったのですが、最近は17%くらいに上がっています。

 「通訳案内士」資格は日本国内において外国語で観光ガイドを行う場合には必ず必要とされる資格です。
 現実には無資格の「闇ガイド」も多いのですが、通訳案内士の団体は観光庁に対して、闇ガイドの取り締まりを強化するように毎年働きかけています。

 通訳案内士が他の通訳資格ないし通訳業務と異なる点は、語学に堪能であるだけでなく、日本の歴史や地理、観光知識、政治経済についても深い知識が必要とされるということです。
 実際に私も通訳案内士試験の受験勉強では高校・大学受験生時代を思い出すくらい、歴史・地理・政治経済について勉強させてもらいました。

 私がこの資格について今回書かせていただいたのは、ICUHSに入学してヘコンでいる(しまった)G生にとっては日本の歴史や地理、経済の知識で優位に立つことによって自信を取り戻し、語学堪能なF生、J生にとっては語学の勉強のみに終始することなく日本の歴史や地理、観光地の特色を学ぶ事によって、日本の各地域の素晴らしさに気付くことができ、日本という国の政治、経済に関する知識をアップデートし、日本の現状について客観的に見直して、正しい日本の姿を友人知人に伝える事が出来るようになる資格試験であるからなのであります。

 紙面が尽きてきましたが、外国からわざわざ日本を訪れたくれた人びとに日本の良さをアピールでき、アニメや映画では分からない日本の真の姿をプロとして説明できる「通訳案内士」資格、取得されてみてはいかがでしょうか。

<参考サイト> JNTO(日本政府観光局)のホームページ https://www.jnto.go.jp/jpn/