ICU高校31回卒業式 先生方からのコメント
外国語科 早川榮一先生に伺いました。

Q.1. ICU高校での33年間の教員生活を一言で言うなら

 「後半生の最も充実した時期でした。」

Q.2. 一番の思い出について教えてください。
  (学校行事、授業、クラス…etc.)

 高校創立間もない頃に私が何気なく言った言葉を卒業生が数十年後までも覚えていてくれたこと。「私は空気のような存在でありたい・・・。私がいるとき(つまりそばに存在しているとき)誰にも気づかれずにいて、私がいなくなったとき、私の存在が如何に重要であったのか気づいて誰もが大騒ぎするような、そんな者でありたいんだ。」と言ったこと。

 自己PRの良し悪しが出世に影響することもあるでしょう。つまり自分は如何に優れた人物なのか日ごろから周囲に大声で吹聴する人が少なからずいますが、そういうのに惑わされるのが嫌だなーという気持ちを述べたのです。

Q.3. 定年退職後の予定、希望、夢など・・・

 身体がほぼ正常に動く限り仕事をしたい・・・。集団ではなくひとりでやるような仕事なら、種類を問わずやってみたい・・・。ハイティーンの頃にやっていた金属の加工組み立て作業などが向いているかも・・・。

 あるいは、教員になる前までやっていた観光通訳案内業に改めて従事するかもしれません。

 長年苦労をかけ続けた妻に少しでも楽をさせてあげたいという夢があります。できれば妻と共に旅にでることができれば最高です。(貧しいが故に妻と共に旅にでる機会がほぼ皆無でしたので・・・。)

 せめて国内旅行、宝くじが当たったら 海外旅行に・・・。寝たきり介護老人になる前に出かけるのが希望・夢ですね・・・。

Q.4. ICU高校同窓生に向けて一言

 学校の成績が良かったとか悪かったとかに拘るのはやめましょう。そんなことに拘るのをやめて、毎日のやるべきことに集中して取り組んでください。

 つい旧友と自分を比べたくなるでしょうが、比べても何にもなりません。比べるなら昨日の自分、今日の自分、(明日の自分)を比べてみてください。自分が如何に進歩・発展・向上しているか意識的に点検するのもいいでしょう。何をもって進歩・発展・向上というのか吟味することも大切ですが・・・。

Q.5. 何らかの事情で退学した人へ

 私自身は、高校に通うことなく年を重ねてしまいました。幸か不幸か私は日立製作所日立工場の専修学校で週に数日間理科系の授業は受けていましたので、いわゆる文系の科目だけを独学で学び、十数科目の大学入学資格検定試験を受け、その結果を添えて大学受験したわけです。数学・物理・化学などは、比較的簡単でしたが、それ以外の科目はかなり難しいと感じました。皆さんにはなじみがない金属材料という科目も受験しました。たとえば鉄に炭素を混ぜていくとどのような特性がでるのか? というような内容です。

 高校卒業・大学卒業の経歴が幸せに直結しているかどうかわかりません。ないよりはあったほうが良いかな・・・とは、思いますが、絶対に不可欠だとは思いません。高校卒業・大学卒業の経歴なしでも、立派な人、私が尊敬できる人は大勢いました、(と言うか)出会いました。

 高校・大学に通うことができそうな環境にいるならば、是非その入学に挑戦してみてください。短時間でも集中して学べばかなりのものを習得できます。

 何かの資格試験を狙っている人もそれなりに集中して学べば何とかなるでしょう。何度やってもだめなら、別の道へ行くことも必要でしょう。それは結局自分の決断次第です。他人のせいにすることはできません。