最近、日本製の服、買いましたか?
今どき、どこの国で作られたか、気にしない人がほとんどかもしれませんね。
着ている服の左脇あたりについている品質表示タグに「日本製」とあれば、それはかなりレアです。
何しろ、日本で供給される衣料品で、日本製は1.4%しかないのですから。(2024年)
フロム フランス、イタリア、中国、ベトナム、バングラデシュ、ミャンマー、東欧や中南米、もしかしたらエチオピア…
2024年に日本で供給された衣料品は35億1204万点(売れた点数ではない)、国民一人当たりだと30点にも満たないから、あなたが買った服に、日本製が入っていない可能性は大いにある。
私の買ったものにも日本製は、KNITTING INN という群馬メイドのマフラーくらいしかありません。
しかも、作った(株)松井ニット技研さんは先日、廃業してしまったし。
最後の戦争に負けて焦土となった日本で、衣食住は絶対に必要だったわけで、衣料品づくりに携わる人がたくさんいました。
鋏と布を用意し、手縫いから始まり、なんとかミシンを一台手に入れて、技術力を高め、人を集めて工業化を進め…
そうやって、日本の服作りはひとつの産業に成長しました。
その産業のおかげで、私はICU高校に進学できたし、大学も卒業できました。
だけど、戦後80年。
私が大学生だった1990年には日本製のシェアは50%。
丸井で売っていたDCブランドも、マハラジャのお立ち台のボディコンも、ほとんど日本製でした。
それから30年余りのいま、日本の服作りは壊滅状態。まあ、壊滅しかけている業界は他にもたくさんあるけど。
特に、技術を身に着けるのに時間がかかる世界は、すでに分水嶺を超えています。もちろん、絶滅に向かって。
よくテレビとかでやる、こんな職人の世界にこんな若い人が入って技を継承しています!なんてのは、珍しいからテレビネタになるのよ。もちろん、それをきっかけに関心を持つ若い人も出てくるけど。
そんな若い人を大事にして、技術を守っていかなきゃね。
デスクでPCいじってりゃ、ものごと進む、と思うなよ。身の周りにあるすべてのものは誰かが手を、身体を動かして、作ったり、育てたり、獲ったり、運んだりしたものなのよ。と、毒づいてみたりして。
もし、あなたの箪笥に日本製の服があったら、大事にしてください。これから日本製のシェア1.4%が大幅に増えることはないので。
5月と11月に虫干しして、防虫剤を。
もしかしたら、あなたの子供や孫や、ほかの誰かが喜んで着てくれるかもしれません。
★ おまけ
『服を買う時の簡単なチェックポイント(主に作りの良し悪し) 』
・試着した時の第一印象。心地よいか
・重すぎないか(安い生地は重いことが多い)
・動きやすいか (屈伸したとき・腕を上げた時にきつ過ぎないか)
・鏡を見て、左右対称か。ゆがんでいないか。違和感ないか(衿とか)
・袖つけの縫い目はきれいか
・パンツ、スカートの脇の縫い目はまっすぐか(特に端は曲がりやすい)
・ハンガーにかけて、背中の中心の縫い目を真上から見下ろす。まっすぐか
・ポケットの縫い目はまっすぐか。
・ボタン付けやボタンホールはきれいか
・ファスナーはYKK一択(最近、偽物が増えているので注意!)
服作りの現場からは以上です!
