こんにちは。32期の北川原梓と申します。
このエッセイリレーのお話を初めて聞いたとき、「さすがICU。おもしろいなあ」と思いました。
実際に読んでみるとやっぱりおもしろい。エッセイを読むと、普段なかなか会えない友人の、SNSではわからない側面というか、人となりがわかる気がします。
わたしの今の生活を語ってもそんなにおもしろくないので、ちょっと高校時代を振り返ってみたいと思います。
わたしはいわゆる一般生で、海外で生まれたことも暮らしたこともありません。
中学までは地元の公立に通っていましたが、環境を変えたいと思い、エイヤッと思い切ってICUを受験しました。
入学してからは驚きの連続でした。
ネイティブばりの英語が飛び交う教室。十人十色な経歴の同級生たち。教科書に載っていないことを熱く語るユニークな先生方。
自分は何てところに来てしまったんだろう、と正直ショックを受けました。
知り合いは一人もいない上に、片道2時間以上かかる遠距離通学。不安と驚きで、入学してしばらくは学校へ行くのが憂鬱でした。
ところが、次第に慣れてくると、なんかラクだと気が付きました。過ごしやすいというか、息がしやすい。今まで感じたことのない開放感。
ICUではみんな自由で、これが普通とかこうじゃなきゃいけない、みたいなものはなく、自分のままでいい。だからこそおもしろいんだ、とわかってきました。
気づいてからはあっという間に3年間が過ぎていました。あの頃は毎日楽しかった、と今でも自信を持って言えます。
高校生活で印象に残っていることといえば、2年生のときに現代文の授業で行ったショートストーリーコンテストです。
学年全体でショートストーリーを書き、作者名を伏せたまま作品を読み合い、ストーリーや表現力など項目ごとに採点する、というものだったかと思います。
わたしは元々小説を書くのが好きで、友人に読んでもらったこともありましたが、自分が書いたと知られずに読んでもらうのは初めてでした。
結果として作品が高評価を得たことも嬉しかったのですが、何よりたくさんの人に客観的に評価してもらう、という経験が新鮮で貴重でした。良いコメントも悪いコメントも自分の糧になるんだ、と実感しました。
そして同級生の作品の完成度の高さに驚き、自分もまだまだだなと刺激を受けました。
今回皆さんのエッセイを読んでみたら、同じ感想が出てきました。当たり前ですが、人それぞれ色んな人生がある。自分の人生をおもしろくするのは自分。
ちょっと恥ずかしいことを語ってしまいましたが、とりあえずわたしも頑張りたいなと思いました。
卒業後は他の大学へ進み、就職し、卒業から10年以上経った今も、ICUで過ごした3年間はかけがえのない時間です。
これからも大切にしつつ、たまに振り返って「懐かしいなあ」と言いたいと思います。