大学時代からフェミニズムの活動に参加してきた私は、今LGBTQ+やフェミニズム、性教育などについて情報発信するメディアで働いています。特に現職では若い世代に向けた発信を行っているため、ICU高校の後輩から「見てます!」と連絡をもらったり、同級生から応援の言葉をもらったりすることもあり、近くや遠くにいる仲間の存在にいつも励まされています。
私の働くメディアは主にSNS上で展開しているため「いかに広くわかりやすく情報を届けるか」がとても重要なポイントとなります。日々SNSのアルゴリズムを研究し、伝えるべきポイントを外すことなく、いかに関心のない人にも見てもらえるコンテンツを作るか、試行錯誤する日々。#MeTooや#BlackLivesMatterなどの盛り上がりを見てもわかるように、SNS戦略やオンラインでの展開は、ソーシャルアクションを起こす上で必要不可欠なものとなっています。
しかし一方、こうしたオンライン上での活動をメインに続けている中で強く感じるのは、SNSの限界でもあったりします。言葉を交わすことでしか生まれない理解や、伝わらない情報。今、社会のどこかで困り事を抱えている人の具体的な存在。SNSの持つ大きな力を実感すると同時に、やはりどうしても手の届かない領域について、ここ数年強く意識させられてきました。
ところで最近私は編み物にどハマりしています。仕事以外の時間はほぼ編み物に費やしており、部屋の中は毛糸や編み途中の作品が散乱しています。編み物クリエイターの様々な発信も追っているのですが、最近英語圏のクリエイターの発信を見ていて「スモールビジネスを応援する」「地域のコミュニティの一部になる」などのメッセージを頻繁に発していることに気づきました。毛糸が作られるプロセスでの倫理性やサステナビリティに着目したり、購買意欲を掻き立てる大きなビジネスモデルに疑問を呈したり。元々編み物をする人たちですから、過剰な資本主義的価値観に対するDIYの精神に親和性が高いのだろうと思います。
それと同時に感じるのは、オンラインを介して発信することが当たり前となった時代の人々が、より温度感のある、地域に根ざしたコミュニティの重要性をあらためて強く感じ取り、個々人においてどうにかそのバランスを取ろうとしているのではないか、ということ。これは、私自身が日々仕事の中で感じている迷いや試みと重なります(もしかしたら自己投影しているだけかもしれませんが)。
そんなこんなでこれから私自身は、本業とはまた別に地域のコミュニティに根ざしたジェンダー平等への「小さな」取り組みにも挑戦しようと目論んでいます。SNSやオンラインでの展開を否定するのではなく、その狭間での私なりのバランスを見つけられたら…。また漠然と将来的に、ライフワークになりつつある編み物とジェンダーへの取り組み、そしてコミュニティ形成をどうにか組み合わせてみたいなという漠然とした夢を持ち始めています。
これを読んでくださった方の中で「いいアイデアあるよ〜」という方がいたら、ぜひ一緒に何かやってみませんか?とりあえず、野川公園で編み物ピクニックなど、どうでしょう。