2026年3月下旬。桜の季節。なのに、今年も花見をしそびれたまま、時間が還暦直前の私を追い越していく。大学進学で一人暮らしを始める息子の準備、地域の仲間と運営している子ども食堂の決算作業、そして本業のライター稼業(妊娠・出産から更年期、介護まで女性のヘルス関連が専門分野です)と、やらなきゃいけないことに急かされて、穏やかに花を愛でるゆとりがない。
この季節、必ず思い出すのがICUの桜並木。高校時代はあのロータリーのあたりまで、「アイシユー ファイ オー! ファイ オー!」の掛け声と共に、汗を流した遠い日々。そう、私はテニス部だった。そして、ICUHSなのに!?テニス部はスポ根だった。
純ジャパ(今の子たちはそう言うらしい)だった私は、高校入学と共に金八先生の世界からビバヒルの世界にワープしたかのごとくパラダイムシフトを迫られた。制服のスカートはひざ丈でハイソックスがイケてるの、先生をニックネームで呼ぶのもオッケー、体育の時間はMichael Jacksonの曲でダンス! 現代社会の教員がJesusを熱演! 新入生歓迎会でけんちゃん校長先生がニコニコ踊ってる!? そんなこんなが、自由というか多様性というかインターナショナルっぽさというか…。
そのウキウキした雰囲気とは裏腹に!テニス部は週に1日、陸トレのみの日があって、空気イスとか、筋トレ後のランニングとか、地味につらいトレーニングメニューがあった。夏合宿ではやたら攻撃的なアブに脚じゅう刺されてパンパンに腫れあがったり(アブにはキンカン!と知ったのもこのときでした)、泣きそうになりながら山中湖一周マラソンをしたり…。お蝶夫人(マンガ『エースをねらえ!』参照)のような華麗な先輩もいたけれど、基本、地味できつかった陸トレばかりが思い出される。まぁ、それが良き思い出になっているんですがね。
スポ根といえば、1年生の時に任意で参加したスキー合宿のこと。私は初心者クラスだったが、指導担当のアリマン先生にいきなり急斜面に連れていかれ、「さあ、みんな、ここから降りよう」と促された。口調は穏やか、でも、言っていることは鬼。当の先生はサッサと滑り降りて見えなくなってしまった。後に残された私たちは途方に暮れた。ある友人は泣きながらスキー板をかついで降りました。きっとあれは「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」論法だったのだな。と、この年になるまでそう信じていたのだが…。
昨年、アリマン先生を囲んで同期の数名が集まった折り、「実はぼくもスキー初心者だったので、合宿直前に特訓したんだよね」との発言が。そうか、先生自身も余裕がなかったゆえの獅子の子落としだったのですね。当時の先生方の年齢を優に超えてしまってから気づく、先生もあの頃は若輩者だったのだな(失礼!)という事実。そんな恩師も喜寿を迎えられるとのこと。今でも私たち卒業生と、カジュアルに若々しく交流してくださることをありがたく思います。