時はもう3月を迎えようとしている。私が高校を出てから、かれこれもう1年経とうとしている、ということだ。そんなタイミングで今このエッセーリレーのバトンを受け取ったが、ここでは私が今を過ごす上で大切にしている信念を語らせていただきたい。
無論それは私のこれまでの人生、中学校以前に始まりICU高校で体験、感じたこと、そしてその後の1年のどれが欠けても完成しなかったものだ。
私が生まれたのは日本の神奈川県であるが、2歳の時にアメリカに一度渡っている。5歳の時に一度日本に戻ったが、なんの縁か、9歳の時にまったく同じ場所へ再渡米した。そこから六年間その地で暮らしたが、ここが私の人生での初めての挑戦であったように思う。初めは英語が話せるどころの状態ではなく、思ったようにクラスメイトと仲良くできないこともあったが、それでもと英語を頑張って学ぼうと努力した。その結果、どんどん輪が広がり、現地の友達にも大いに恵まれた。そんな彼らと昼食でくだらない話題で盛り上がったり、同じ習い事で称えあいながら頑張ったりしたあの日々はまさに私の基礎、土台を作り、私という存在を半分ほど決定づけた大切な時期だと思う。
その後は帰国のタイミングが決まり、受験の結果私はICU高校に合格して日本に戻ってきた。入った当初はこれといって決まった目標がなく、なんとなくぼんやり過ごしていたと今となっては言えると思う。だが、そんな中でも、他の人は見えないところで努力をしている。一つの目標を定め、何重にも計画を立て1年の時から走り出した友人がいる。そんな友人と話す中で、私は自分が数学が好きだ、と思える人間だと確信し、理系の世界へ飛び込んでみたい、と思うようになった。本格的に進路のことを考えたのは、このタイミングだった。
さて、理系を志したのはともかく、やはり比較的唐突に決めた進路。道のりは決して平坦なものではなく、やはり最後まで伸び悩むことも多かった。だが、それと同時に、すぐそばに指標にできる友人も多くいたことで、あきらめないで戦い続けることができたように思う。仲間を自分で集めて新しい取り組みを始めた友や、普段は見せない努力を才能の陰に感じ取れる友達もいた。また、自らが知らない世界に自分の意志で飛び込んでいったある友人のおかげで、私も頑張ろう、絶対にあきらめないという心を最後まで保てた気がする。こうして、ICU高校で会った素晴らしい、尊敬できる仲間たちのおかげで私は最後までやり遂げることができ、どうにか目標だった理系の夢を現役でかなえた。
その後、無事大学に進学した私は、せっかくだからまだ挑戦したことないものに挑戦したい、という風に感じるようになった。入学式も過ぎ、新しく出会った友達と話していると、ある友達が軽音いいなぁ、と言っているのを耳にした。もともと音楽に興味がないかといわれるとそういうわけでもなく、いろんなジャンルの音楽を聴くのは元々好きだった。それもあって後押しもあった結果、音楽を聴くだけでなく、届ける立場に立ってみることになった。経験もなく始めたばかりに大活躍はできないが、それでもそれまでなかった音楽の経験はまた新しい楽しさを与えてくれ、少々受験で疲れていた私に新しいことに飛び込んでいく楽しさを思い出させてくれた気がする。その後もサークルのほかにもバイトや勉強、実験に遊びと、さまざまな事に挑戦するたびに良い仲間に出会うことができ、自分が知らないことに対する努力の良さをくれる。どれももちろんとんとん拍子にはいかずとも、やはり新しいことに挑み続けるのは楽しい。
長々と書いてしまったが、最後に私の信念を一つ、語らせていただきたい。
人間、世界中の誰とも同じではなく、私も世界の誰とも違う。どんな時でも仲間と自分、両方があったからこその私の今はある。誰かと出会ったことが偶然でも、彼らから私が得たものはきっと必然だ。ここまで書いてきたように、そんな仲間たちがきっかけを私に与えてくれて、何かに挑戦したい、という自分の心の火を燃やし続けてくれた。だから私も、いつかそんな人たちのようになりたい、という思いやその人たちに対する感謝とともに、これからもどんなことにも挑み努力し続け、また周りにもプラスを分けることができる人でありたい。それこそ、私の信念であり、これからも大切にしていく考えだ。