近況を書くといってもバトンを回してくれた万葉や他の卒業生のように人様にお伝えするような出来事を卒業後に経験した訳でもなく、平凡で変化の少ない生活を送っているので、文章にするようなネタがなくて何を書けばいいのか困っています。うーん、どうしよう。

過去の執筆者の方々のエッセイを拝見し、高校時代のことを振り返ると、まず思い出されたのは、寮(3女)での生活でした。そういえば、今はどこに行ったか分からない卒業アルバムの個人写真も、寮の玄関前で撮影してもらった記憶があります。今は恐らく無くなっている卒寮生の退寮時のメッセージが沢山書かれた木製の二段ベッド。テスト前に寮官のフルリンが振る舞ってくれたケーキ。ソーシャルルームの何回も読み返したBASARA(漫画ばっかり読んでたな)。個性豊かな先輩や同級生達と一緒に過ごした日々。「生活」をしていた寮での記憶が一番鮮明です。

寮に入るのは帰国生が多いこともあり、多様なバックグラウンドを持つ仲間と生活を共にして、様々な価値観に触れられたことは、主に中学時代に形成された私の捻くれた性格や価値観を少しはまともにしてくれることにも繋がったように感じています。他の方も触れていることですが、寮も学校生活と変わらず、異なる価値観を排除したり、批判したりするという空気はなく、「そういうものだよね」とお互いを許容して、違いを受け入れる空気がありました。虚勢やウソを含めて、優等生でいたい意識が強く、自分をよく見せようということが多い私でしたが、高校時代を経ることで、大分自分を出せるように(それで離れる人はそこまでと思えるように)なりました。
当時は、それ程有難みが実感出来ていなかったけれど、振り返ればとても居心地が良い環境でした。兄に続くように受験したICUHSですが、無事に入学できて寮で3年間生活をしたことは、私の人生において最も大きな分岐点の1つです(高3で何を間違えたか数Ⅲを選択し、Dを獲得した私としては、数学の入試問題が簡単な年で良かった・・・)。

高校時代も、その後も、よく自分のことをネガティバーと表現していたのですが、「今が幸せであれば過去の自分も認めてあげられる」と思えるようになってから、こうやって考えられるようになった最初のきっかけは高校時代だなと思います。今回、この機会を頂いて、高校時代から少し変われている部分と、全然変わっていない部分も多い自分を認識して辟易としつつも、幸いなことに「私はこれでいいや」とも思えている今を過ごせていることに、改めて気づかせてくれる機会にもなりました。家族含め、周りの人にも感謝です。

次は3女で最初の部屋が一緒だった智美に回します。15歳から四半世紀近く(そう考えると過ぎ去った時間の長さに愕然とする…)、友達でいるなんて入寮の日に部屋であった時にはお互い全く思わなかったはず。卒業以来近づいていないけど、久しぶりに高校にも行ってみたいね。