こんにちは! 1組の翠からエッセイリレーの話を聞いて、無理矢理ねじ込ませてもらった2組の花田玲奈です。
さて突然ですが、つい先日(3月某日)は、私の29回目の誕生日でした。誕生日って、お祝いしなきゃいけないようなプレッシャーを感じたり、色々と期待しすぎてがっかりしたり、忘れられて悲しんだりするので、正直あまり得意ではありません。
なので今年は、一人でひっそりエストニアのタリン(今住んでる街)からフェリーに2時間半乗って、フィンランドのヘルシンキまで来てみました。
特に何もお祝い事もせず、誰にも誕生日だとは言わず、適当に過ごしました。でも、海沿いの公共サウナでフィンランド人のおじいちゃんと寒中水泳をしてみたり、人生で一番美味しいなと思ったシナモンロールを食べたり、ビーチボーイズのレコードが流れるお店でベーグルを食べたり、同じお店で誕生日プレゼントとしてりんごのマフィンをもらったり、ずっと行きたかったヘルシンキ最古の薪サウナに行ったり、フィンランド人とフィンランド語で簡単な会話をしたり、単純に天気がよかったりと、「小確幸」に溢れた誕生日だった気がします。
「小確幸」(しょうかっこう)とは、作家の村上春樹さんが長年広辞苑に載せたいと言い続けている造語で、「小さいけれど確かな幸せ」のことです。春樹さんは、例として「我慢して激しく運動した後に飲むきりきり冷えたビール」「良い文章が書けたなあという日の午後に頬張るおいしいドーナッツ」を挙げています。ちなみに私の最近感じた小確幸は、「友達の猫が私の膝に乗ってきたこと」と、「友達とピタパンを初めて作ってみたらあまりにも見た目がひどかったので、失敗したと思ったら意外と美味しかったこと」です。
きっと人生は小確幸で溢れているはずなのですが、なかなか「あぁ、小確幸だなあ」と思う瞬間ってないですよね。春樹さんは、「小確幸を見出すためには、多かれ少なかれ自己規制みたいなものが必要」だと言っています。忙しさとか、疲れとか、「大確幸」ばかりに溢れた生活とか、ソーシャルメディアとか、そういうものが邪魔するのかもしれませんね。私もまだ人生初心者なので、よくわかりませんが。
春樹さんは、「小確幸のない人生なんて、かすかすの砂漠のようなものにすぎない」と言っています。大確幸よりも(きっと)大切な小確幸。みなさんの小確幸はなんですか?