同じ3年6組だった長谷川雄基くんからバトンを受け取りました、32期の田辺葵と申します。高校時代の思い出も経験も共にした同期の文章を通し、年月を経て全く新しい一面を知るようで、改めて感銘を受けています。
唐突ですが、私は読み物が好きです。幼い頃から、本の世界に入り込んでは、名前を呼ばれても帰って来ないことがよくあったそうです。漫画も恐らく好きだったのですが、いかんせん家には昭和の漫画が数冊しか無く、世界観に入り込めずじまいだった気がします。友人たちは皆、キラキラした女の子が恋をする漫画雑誌を読んでいる中、私はいつも、シンプルな線が魅力的なかりあげクンやおそ松くんを読んでいました。当時はよくコンビニでコミックスを見たのですが、最近はあまり見なくなってしまった気がします。寂しい限りです。
本や漫画については、読むのはもちろんかくのも大好きでした。自分の創作物を友人や家族に見せると笑ってもらえるのが嬉しくて、毎日のように空想にふけっては、頭の中のものを紙面上に引っ張り出していました。映画の脚本家を夢見たこともありました。とにかくいつでも、ノートに自由帳、原稿用紙は手に届くところにありました。
ただ、私は文章も絵も想像力も、人並みというより、寧ろそうでもない方なので、歳を重ねるごとに紙とペンから遠ざかってしまいました。高校の頃、現代文の授業で物語執筆の課題が出たのをどなたか覚えているでしょうか。当時友人と文芸部発足を試みたこともありました。私が何か書きたかったから、というよりも、才能溢れる同級生の文章に感動したから、ということで、作品をまとめた冊子だけ作って満足しました。
そんな中でも、たった一つだけ、小学生からほそぼそと続けていることがあるのです。日常の面白いことだけを纏めた、ギャグ漫画です。簡単な線とフキダシだけの、一話4コマ〜1ページの漫画を、小学生の頃から気まぐれに、お腹が捩れるほど面白い事があった時に、書き溜めています。学生生活、家族との会話、旅行中の出来事など、登場人物の名前と日付を入れて、日記のように記録しています。どんなに気分が落ち込んでいても、このノートを開くと涙が出るほど笑えるのです。今この文章を読んでいる誰かも、知らずのうちに登場しているかもしれませんね。いつも私を元気付けてくれてありがとうございます。リクエストがあれば、登場人物特典として、いつかこっそり見せることもあるかもしれません。