11期生の佐藤美奈子です。小泉(吉田)恭子さんからバトンを受け取りました!恭子とは卒業後はしばらく会ってなかったのですが、嬉しいことに数年前に再会して以来またご縁が繋がりました。
さて、11期生のエッセイリレー、ここのところ運動&アウトドア系の話題が続きましたので、インドア派の私からは「いけばな」についてお話ししたいと思います。
母の勧めでなんとなく習い始めたいけばなでしたが、飽きっぽい私がもう20年近く続けている趣味となりました。
私が習っている流派は京都の「桑原専慶流」で、その歴史は元禄時代(十七世紀)にまで遡ります。私は東京に住んでいますが、月一回京都から上京される家元のお稽古を受けています。
いけばなを習って良かったと思うことは色々ありますが、まずは単純に花の名前にそこそこ詳しくなったことです。とはいえ、お稽古でいけた花材は限られているので、そんなに多くの花の名前を覚えた訳ではないのですが、以前より植物や季節の移り変わりが気になるようになり、興味の幅が広がったと思います。
また、いけている間はかなり集中するため、無心になることができます。いけばなは、一見簡単そうに見えるかもしれませんが、全体のバランスをとるのがかなり難しく、私の場合、お稽古で一つの作品をいけるのに、2時間、もしくはそれ以上かかります。かなり疲労困憊になるので、良い点かどうかは微妙なところではありますが。。。
さて、私の習っている流派では、特に「出生」(しゅっしょう)を大事にしています。出生とは、植物本来の特性のようなものです。
例えば、アマリリスのように背の高い花は、短く切らずに高くいけ、アネモネのように低く咲く花は低めにいけます。但し、低くといっても、いけばなでは茎はあまり短く切りません。首チョンパ(多分死語)は厳禁です。
他の例としては、枝や葉は太陽に向いていた側の方が色が濃くなりますが、その濃い方を正面にしていけます。花も上向きに、元気に見えるようにいけるのがポイントです。
「出生」を大切にするということは、植物をその本来の姿に近い形で活かしながら、自然の状態よりもさらに美しい姿に整えてあげることだと思います。
また、他の日本の美術同様にいけばなも「空間」を大事にするので、少ない本数でも様になるのも魅力です。
さて、こうしていけばなを楽しんでいるわけですが、特にコロナ禍で色々と制限のある生活を送る中、お花にはとても癒されました。改めてお花やいけばなの力を感じました。
ちなみに、コロナ禍になってからは、リモートでお稽古を受けています。お稽古の日に宅配便で名古屋と東京の生徒の自宅に花材が届き、京都のご自宅で先生がいけるのをZoomで拝見し、その後各自いけるのです。いけ終わったら、その作品の写真を先生にメールで送り、コメントを頂きます。
Zoomを使った在宅稽古も長くなりましたが、先日先生から「普通のお稽古をしていた時より、皆さんの上達のペースが速い気がします」と嬉しいお言葉を頂きました!
その理由を考えたのですが、お教室でのお稽古だと、どうしても他の生徒さんの進み具合が気になって焦ったり、「うーん、なんかいまいちだけど、先生に直してもらうからこれでいいか」と思ってしまいがちのところ、在宅だと好きなだけ時間もかけられますし、また写真を撮ることで肉眼では気付かなかった粗が見えて納得いくまで直したりするからではないかと思います。
コロナ禍も悪いことばかりではないですね。
さてさて長くなってしまいましたが、このような感じで私はいけばなを楽しんでいます。皆さんも堅苦しく考えず、一輪でもいいのでご自宅にお花をいけてみてはいかがでしょうか。きっと気分が華やぐと思いますよ。
そして少しでもいけばなに興味を持って頂けたら嬉しいです!