今回、21期生の第一執筆者を務めさせていただくことになり、大変光栄に思い、直ぐに書き上げなければ!と焦りつつも旦那のカフェがオープンするタイミングと重なってしまい今こうしてようやく時間を取ることができました。どんな方が読んでくださるのだろうとまず思いをめぐらせ、かつてのクラスメイトの佐藤さんや隣のクラスの野口君をふと思い出しながら、中国のチベット自治区の首都、標高3,600メートルのラサの青い青い空の下、今書いています。

 私が5年前から暮らすチベットは、ブータン、ネパール、インドと国境を接する中国西部の地域です。中国の少数民族の一つとされ、チベット仏教を主に信仰するチベット族が暮らす土地です。とても乾燥した気候で夏季の雨季以外はほぼ晴れ渡たり、標高が高いため、キラキラと光る太陽光が降り注ぎ気持ちいいくらい澄んだ青空が毎日のように続くのが特徴です。それに由来し、件のカフェも「Blue Sky Cafe」と命名しました。コロナ禍の今、かつての暮らしができなくなり、様々な困難に直面している方がいるかもしれません。私も2年以上中国を出国できずにおり、他の場所に暮らす家族や友人に会えない悲しみに耐えながら暮らしています。そして落ち込んだ時には青空を見上げ、この空のつながりのずっと先に皆がいるんだと思いを馳せては、元気を取り戻しています。

 そんな時に支えとなるのは青空の他にやはりこちらでできた友達の存在です。今回は皆さんにチベット語の「友達」という言葉について紹介したいと思います。チベット語で友達は「རོགས་པ།(ロッパ)」と言います。この言葉は友達という意味の他に動詞として使われる場合は「手伝う」、「助ける」、「お伴する」という意味があります。まさにお友達がしてくれることが動詞になっていて面白いと思いませんか?「ロッパ(手伝い)は必要?」「ロッパ(お伴/一緒に行ってくれる人)はいるの?」「ロッパして(助けて)」といった具合に日々繰り返し聞く言葉です。こちらでは助け合いの文化が色濃く、些細なことでも助け合い、友人や親戚同士が集まり一緒に何かをするということが日常茶飯事です。とにかく助けや手伝いを気軽に求め、求められた方も当たり前のように応じるのです。日本でいつも助けを求めてばかりの人がいたらきっと、この人はなんでもかんでも人を頼ってばかりの「ダメな人」と評価を下されるでしょう。自立を促す現代的教育を受け「自立した人は立派な人」という価値観の中で生きてきた私としても「そのくらい人に頼らず、自分でやりなよ」と正直うんざりすることが多々あります。一方で、「こんなことでも人様を頼っていいのか」と肩の荷が下りる思いを経験することもあります。慣れない私にとってはすんなり「ロッパ」をお願いしたり、気軽すぎる「ロッパ」の依頼に応じるのはなかなか簡単ではありません。それでも感じるのはこの「ロッパ」文化の温かさです。コロナがいつか治まり、また自由に旅行をできる世の中になった際はぜひ皆さん、ラサのとびっきり青い空と面倒くさいけど温かい「ロッパ」文化を体験しに来てください。できる限りの「ロッパ」をさせていただきます。